電子レンジは、1947年にアメリカで初めて製品化された食品を加熱する調理器具です。
食品を加熱する調理器具は、電気コンロやガスコンロ、最近ではIH調理器(電磁調理器)などがありますが、電子レンジはマイクロ波を照射して温めるという点で、他の調理器具とは全く異なる原理で調理をします。
わが国における電子レンジの世帯普及率は、年々増加の一途をたどり、1970年代に10%強、1980年代に50%を突破し、今世紀に入ってからは90%後半と言いますから、家庭に欠かせないものの一つになったと言えます。
そんな電子レンジの寿命は、おおむね10年ほどと言われています。もちろん使う頻度にもよりますが・・・。
もし、修理が難しいほどに故障してしまったら、その便利さゆえに、とても困ることになります。
それこそ、すぐにでも新しい電子レンジを購入しないと思うことでしょう。
ところが、家電量販店をのぞいてみると、電子レンジの種類の多さに圧倒されかねません。その多さといったら、一日中迷って困るほどです。
そこで、今回は最新の電子レンジの特徴から選び方まで、わかりやすく解説してみようと思います。電子レンジ選びに是非、役立ててくださいね。
電子レンジってどんなものがあるの?
単機能電子レンジタイプ
電子レンジの基本ともいうべきものです。単機能電子レンジは、あたため専用の電子レンジと思っていただいて間違いないでしょう。
価格は1万円前後の製品が多いですね。中には5000円くらいの電子レンジもありますよ。
サイズは20Lくらいまでの小型が主流ですが、一人暮らしの方が使う分には不自由することはないでしょう。
機能が限られたうえ、サイズが小さい分、より低価格になっていますのでお買い求めやすいですね。
オーブンレンジタイプ
単機能電子レンジにオーブン機能がついたものです。食品をあたためるだけでなく、焼くこともできるようになっています。
焼き方には、電子レンジの庫内全体を加熱することで、熱の対流を発生させて食品を外側から焼き上げるオーブン、ヒーターで食品を直に熱して焼き上げるグリルの2種類があります。
ファンが内蔵されているオーブンレンジでは、庫内の温度にムラが生じないよう、温度を均一に保つことが出来るようになっています。
単機能電子レンジには、ほとんどついていないのですが、オートメニューがついているのも、オーブンレンジタイプの電子レンジのうれしいところです。
オートメニューがついてるとうれしい理由は、あたため操作が簡単になるからです。
たとえば自動あたため機能があれば、食品に合わせて庫内に配置されているセンサーで適した温度加減にあたためてくれますので、熱すぎて食べられないということや、あたためムラがあり所々が冷たいままになるということを防げます。
また、比較的使う頻度の高い解凍や牛乳などの飲み物の専用ボタンがついています。専用ボタンがついていると、時間を設定しなくてもいいので、調理が簡単になります。
オートメニュー付きを選ぶと便利ですよ。気になる価格帯は、1万円強から2万円くらいです。
スチームオーブンレンジタイプ
最近、オーブンタイプの電子レンジのなかで主流になりつつあるタイプです。
スチームという名前がついていることからわかりますが、高温の水蒸気を使って食品をあたためます。
その温度はなんと、300℃以上です!
スチームオーブンタイプになりますと、食品を”あたためる”、”焼く”だけでなく、”揚げる””蒸す”という機能もついています。
高温の水蒸気を使ってあたためる利点は、食品が乾燥することがないので、あたためた後の食品が、ふんわりとおいしく仕上がることです。この点は他の電子レンジに比べられません。
そんなスチームオーブンタイプの電子レンジですが、大きくわけると、簡易式スチームオーブンレンジ、タンク式スチームオーブンレンジ、ウォーターオーブンレンジの3タイプにわけることが出来ます。
簡易式スチームオーブンレンジ
庫内に水を入れたお皿をおいたり、水を張ったりして、スチームを作り出すタイプです。
タンク式スチームオーブンレンジ
レンジに水を入れるタンクがついているタイプです。スチームの元となる水の量を適切に調整できますので、簡易式よりもより美味しく仕上げることができます。
ウォーターオーブンレンジ
レンジにタンクがついているところは同じなのですが、ウォーターオーブンレンジでは発生したスチームをさらに加熱して、その熱くしたスチームで調理します。
電子レンジの庫内は、大量の加熱したスチームで満たされ酸素が追い出されるので、なんと酸素濃度1%といかという低酸素料理ができます。
低酸素料理は、酸化を防げたり、細胞破壊を防いだりするので、おいしさだけでなく栄養素もしっかり保つことが出来るところもいいですね。
そして、食品の余分な油分や塩分を落とせるので仕上がりがヘルシーになるのもウォーターオーブンレンジの利点です。
なお、オーブンレンジと同じく、ほとんどのスチームオーブンタイプの電子レンジにも、オートメニューがついています。
電子レンジの形の違いってなに?
ターンテーブルタイプ
電子レンジのなかに、丸いテーブル(お皿のこと)があるタイプです。テーブルが回転しながら食品を加熱します。
テーブルが回転するところがポイントで、回転することで加熱時のムラを防いでいるのですが、大きくて重たい食品を入れると、回転がうまくいかずあたため具合にムラが生じることがあります。
お手入れは、テーブルを外さないといけない上に、回転台の周囲の汚れがとりにくかったりと、後述するフラットタイプと比べるとやや手間がかかります。
テーブルそのものは取り出して洗えるという点は、考え方によっては便利でいいですね。
また、電子レンジの庫内は四角形なのですが、テーブルは回転させるために円形です。もちろん、テーブル以外の場所にあたためたい食品をおくことはできませんから、庫内の床面の四隅に加熱に使えないスペースが生まれてしまいます。
デッドスペースが生じることを防げないのもターンテーブルタイプの欠点といえますね。
フラットタイプ
電子レンジのなかにテーブルがなく、庫内の床面がフラット(平面)になっているタイプです。
食品を回転させないで加熱するのですが、あたため具合にムラが生じないように、庫内の各所にセンサーが配置されており、食品のあたため状況をセンサーが確認して、ムラが生じないようにあたためます。
機能が高い分、ターンテーブルタイプと比べると高価になりがちなのがフラットタイプの欠点です。
お手入れは、ターンテーブルがないので床面がフラットになっていますから、ターンテーブルタイプと比べてとても簡単です。
また、ターンテーブルタイプのように四隅にデッドスペースが生じないのも、フラットタイプの利点といえます。
テーブル2段タイプ
電子レンジに、テーブルが上下に2段あるタイプです。コンベクションタイプ電子レンジ、熱対流式電子レンジともよばれます。
熱風を庫内で循環させることにより、食品をあたためます。
テーブルが上下に2段あるので、一度にたくさんの食品をあたためることが出来る利点があります。しかもなんと機種によっては、上下で別の料理をすることができるタイプもあり、2つ同時に調理して時間を節約できるようになっているのです。
フラットタイプと同じく、回転するテーブルがないので、お手入れがしやすい上に、デッドスペースもなく隅まで有効にスペースを活用できます。
一方、フラットタイプよりも高機能ですから、価格が高くなってしまうのが2段タイプの欠点ですね。
電子レンジを選ぶときのポイント
置き場所
電子レンジは、食品を加熱するという目的に使うわけですから、その庫内は非常に高温になります。
したがって、たまった熱を排出するためのスペースが必要とされます。
一般的に、側面は壁から10cmくらい、上面は20cmくらいのスペースが必要とされています。
しかし、最近では左右や後方、つまり側面は隙間がほとんどなくてもいいとされる電子レンジが発売されるようになってきました。
電子レンジをおきたい場所のスペースをあらかじめ計測しておきましょう。そして、欲しい電子レンジのサイズ、周囲にどれくらいのスペースが必要とされるかを計算して、設置することができるのかチェックしてみてください。
扉の開け方
電子レンジの扉は、横開きか縦開きかの2種類から選ぶことになります。
縦開きは、左右に壁があったり、扉があったりしても使いやすいというメリットがあります。
その反面、高いところに設置すると、食品の出し入れがたいへんになるというデメリットがあります。
一方、左右の横開きは、高いところでも食品が出し入れしにくくなるということは比較的少ないのですが、扉が開く方向によっては、壁など何かがあって、十分に開くことが出来ないこともあります。
設置したい場所の、左右の環境についても、チェックが必要ですね。
最高温度
単機能電子レンジは別として、オーブン機能のある電子レンジは、焼くという機能故に、最高温度が機種によっては300度以上になるものもあります。
最高温度が高ければ高いほど、余熱に必要とされる時間が短くなりますし、食品の表面を短時間に素早く焼き上げてくれます。
最高温度がどれくらいかも、チェックしておきましょう。
ただし、最高温度は長時間にわたって保つことは出来ません。どの機種であっても数分くらいが限界で、その後は自動的に温度が下がってきます。
オートメニュー
オーブンレンジやウォーターオーブンレンジでは、ほとんどの機種についていますが、自動的に調理してくれるので、とても便利な機能です。
オートメニューの数がどれくらいあるのかも、調べておきましょう。
サイズ
家族構成によって必要とされる電子レンジの容量も違ってきます。
1人暮らしなら、20L以下で十分です。2人暮らしなら20〜25Lがおすすめです。3人以上なら25L以上のサイズが欲しいところです。
もちろん、大は小を兼ねるわけですが、スペースも電気代も高くなってしまいます。やはり手頃なサイズを選ぶようにしたいところです。
内蔵センサー
電子レンジの庫内温度を観測しているセンサーは、赤外線タイプ、蒸気タイプ、重量タイプの3種類があります。
それぞれに利点があるのですが、迷ったときは赤外線タイプにしておくと無難です。
自動洗浄機能
ウォーターオーブンレンジでは、調理中にとんだ油を自動的に洗ってくれるタイプもありますよ。
デザイン
最近の電子レンジは、とてもカラフルになってきました。ホワイトやグレーだけでなくレッドやシルバーなど、いろいろな色がありますね。
ですので、電子レンジを設置したいところの周りとの色の合い具合も、気になるところですね。
目的
どのような調理に用いたいのか、つまり目的も選ぶ上で大切なポイントです。
単機能電子レンジタイプ
コンビニのお弁当など、食品をあたためたいというだけなら、単機能電子レンジでも十分です。
オーブン機能がないのでパンが焼けないから困るという場合でも、トースターを別に購入しておけば十分ですからね。
オーブンレンジタイプ
食品もあたためたいし、たまにはオーブン機能も使いたい、そんな方には、低価格帯のオーブンレンジタイプの電子レンジがいいですね。
食品も十分温まりますし、お魚やパンもしっかり焼けます。そのほか、シチューパイなど簡単だけどちょっと凝った料理もできますよ。
ウォーターオーブンレンジタイプ
本格的なオーブン料理をしたい、余分な油分や塩分をカットしてヘルシーに仕上げたい、という希望がある方にはウォーターオーブンレンジがいいですね。
最上位機種ではなくても、最近では高性能なものがたくさん発売されています。2段式のテーブルだったり、メニューも豊富だったりしますから、家族が多い方も重宝することでしょう。
周波数
西日本と東日本では、電気の周波数が異なるのはご存知でしょうか?西日本は60Hz、東日本は50Hzです。60Hzの電子レンジは、東日本では使うことが出来ません。
低価格帯の電子レンジの場合、周波数が固定されている製品があります。
もし、転勤などで西日本と東日本の間で引っ越す機会が多いときは、どちらでも使える製品を選ぶようにしましょう。
お店で購入するときはまず大丈夫だと思いますが、インターネットで購入するときは注意が必要です。
中価格帯以上の電子レンジでは、どちらでも使えるタイプがほとんどなので、あまり問題となりません。
おすすめ電子レンジランキング
分かりやすくしたいので安い機種から高い機種の順で紹介いたします。
低価格機種 ①アイリスオーヤマ IMB-T172
20L未満の単機能電子レンジです。数千円で購入できます。
50[Hz]と60[Hz]と分かれていますので、注意してください。
低価格機種 ②ヤマゼン YRB-207-W
庫内容量が17Lの小型単機能電子レンジです。6000〜7000円位で購入できる低価格機種です。
こちらも、50Hzと60Hzの2種類に分かれていますので、購入時には注意してください。
低価格機種 ③シャープ RE-T3
シャープ 電子レンジ 東日本地域専用 50Hz RE-T3-W5
こちらは単機能電子レンジながら庫内容量が20[l]と、アイリスオーヤマやヤマゼンと比べて1割ほど大きくなっているのが特徴です。
価格は10000円以下くらいです。50Hzと60Hzにわかれていますので、注意してください。
低価格機種 ④パナソニック NE-EH229
パナソニック 単機能レンジ 22L ホワイト NE-EH229-W
単機能電子レンジながら、温度センサーがついています。しかも、50Hzと60Hzのどちらでも使えるようになっている(ヘルツフリーとも呼びます)ので、引越の心配もありません。
庫内容量は22Lと大きいので、1人暮らしの方の場合、設置場所に気をつけてください。
中位機種 ①パナソニック NE-BS804
庫内容量30Lのスチームオーブンです。オートメニューが196ととても充実している上に、煮物機能が新たに搭載され、より使いやすくなりました。
高さを抑えた設計になっており、置き場所の自由度が高くなっています。2段調理ができるモデルで大変お買い得になっています。
中位機種 ②パナソニック NE-BS604
庫内容量26Lのスチームオーブンです。NE-BS804だと大きいというときは、こちらの電子レンジがいいでしょう。
お肉やお魚の解凍はもちろん、トーストもこんがりと焼けます。サイズが小さくなるので価格がグッと手頃になっています。
中位機種 ③東芝 ER-R6
庫内容量23Lのスチームオーブンです。
自動で裏返して、トーストの両面を焼くことが出来るオートトースト機能を搭載しています。コンパクトながら庫内の床面が広くとってあるワイド設計で、使いやすい電子レンジです。
上位機種 ①東芝 ER-RD7000
東芝のスチームオーブンレンジです。
石釜ドームという名前をつけているほど、オーブン機能に注力しているのが東芝の特徴です。
このER-RD7000は、350度という最高温度の高さがウリです。火力がとても高いので、カリッと焼き上がります。
庫内センサーは、8つですが、128段階にスイングさせて庫内を走査するので、1024カ所、そしてスイングしない固定式のセンサーがあり、合計で1025カ所を走査します。
もちろん、2段料理もできますし、3品同時調理もできます。庫内の容量も30Lあるので、たっぷりです。
上位機種 ②パナソニック NE-BS1400
パナソニックの最上位スチームオーブンレンジです。
最高温度は300度なので、東芝には及びませんが、”焼く””煮る””蒸す””揚げる”という機能をバランスよくまとめて、使いやすくしています。
庫内センサーに至っては、なんと64個もあります。もちろん、2段調理にも対応です。3素材3ステップ調理という、3つの食材と3つの手順でさっと調理できるコースもあります。
上位機種 ③シャープ AX-XW400
シャープの最上位スチームオーブンレンジです。
塩分や油分を減らして、ヘルシーな調理をしたいならこれがおすすめです。ヘルシオという名前もココからきました。
ヘルシオの特徴は、材料や温度、食品の量を気にすることなく、まとめて調理できるところです。
価格は80000円からです。
まとめ
電子レンジは、現在では必需品とも言える家電製品になりました。
価格も数千円のものから10万円位するものまで、非常に多岐にわたります。どのタイプが、自分自身に適しているかとても迷ってしまいます。
電子レンジに迷ったときは、ぜひ、この記事を参考にしてみてください。